2月分野別研究会

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2月分野別研究会

産学連携はアイデア実現の近道!!

日時 平成15年2月21日(金)13:30受付
場所 姫路商工会議所本館5階

■分野別研究会(14:00~17:00)

★第Ⅰ分科会  502号室
①14:00~15:00 大学院工学研究科機械工学専攻  助手 飯村健次
 テーマ:「界面活性効果を有する粒子による新規ポリマー重合プロセス」
 概 要:無機粒子の局所的な表面改質を利用した界面活性粒子の工学的な応用例として、ポリマー重合プロセス、水処理・抽出プロセス並びにゾルゲル法による粒子作製プロセスを紹介する。

②15:00~16:00 大学院工学研究科機械工学専攻  助手 松田 聡 
 テーマ:「人工股関節素材の力学的評価」
 概 要:現在,変形性股関節症の治療として,人工股関節置換手術が年間数万件行われている.当研究室では置換手術が人体に及ぼす影響について,力学的な観点から研究を行っている.人工股関節手術とその問題点について触れ,その改善策について述べる.
     
③16:00~17:00 大学院工学研究科機械工学専攻  助手 佐野紀彰
 テーマ:「液中アーク放電によるカーボンナノ材料の簡単合成法」
 概 要:水または液体窒素の中でアーク放電を行うことにより簡単にカーボンナノチューブや球形に近い多層フラーレン構造のナノ粒子を合成することができる.このナノ材料合成法についての説明および生成物の特性等について解説する.

★第Ⅱ分科会  503号室
①14:00~15:00 大学院理学研究科物質科学専攻  助教授 篭島 靖
 テーマ:「SPring-8兵庫県ビームラインにおけるX線マイクロビームの形成とその応用研究」
 概 要:兵庫県ビームラインにおいて、位相ゾーンプレートをX線レンズに用いた走査型X線顕微鏡を開発し、その応用研究を展開している。X線のエネルギーとしては主に10keVを使用している。顕微鏡としての空間分解能に対応するマイクロビームの大きさは、現状1ミクロン程度であ。応用として毛髪中の微量元素の空間マッピング測定と定量分析、高分子単繊維の構造解析、光通信用半導体レーザー素子の評価等を行っている。これらの応用例と併せて、走査型X線顕微鏡の光学系、性能等についても述べる。

②15:00~16:00 環境人間学部社会システム環境学代講座 教授 村上光正
 テーマ:「水の浄化・浄水技術」
 概 要:池、埋立地浸出水、排水などの浄化技術。最近は細砂緩速ろ過など上水道システムを開発してきた。特許出願は、繊維ろ床関係3、ミジンコろ床1、曝気装置1,細砂による浄水2、竹活性炭1,浄水器1などである。
 
③16:00~17:00 高度産業科学技術研究所光・量子化学技術代部門 教授 望月孝晏
 テーマ:「小型で強力な軟X線源の実用化と応用」
 概 要:パルスレーザー光をターゲット物質に集光すると容易に高温高密度のプラズマができる。このプラズマから放射される軟X線は輝度が明るく、照射レーザー光を高繰り返し(~kHz)運転することにより高出力の実用光源となる可能性がある。小型であるため生産ラインでの使用が期待されている。

★第Ⅲ分科会 14:00~17:00 よろず技術相談 4階議員ロビー 
    姫工大産学交流センター・コーディネーター2名・産学官連携推進員が対応  

■懇 親 会(無料)7階ホール  17:15~19:30

≪例会報告≫2月分野別研究会

 今回の分野別研究会にご参加下さった方は、今までの研究発表とは少し雰囲気が変わった!かな?と感じて下さったことと思います。

実は今年から、分科会の司会担当者が、発表していただく先生の研究室を直接訪問することになったのです。今回、先生と事前に面談をし、素人でも判るような発表内容にしていただくなどお願いするなど、先生と司会者がまず親しく交渉した甲斐あって、第Ⅰ分科会では、司会者が先生の研究室の模様や学生達とのミーティング場面など普段の現場を取材し、親近感のある楽しい先生のご紹介を写真入りで準備して下さったり、又分科会
の内容も、たいくつしないよう先生ご自身が準備万端の感があり言葉を選んで説明をして下さったり、終始リラックスした発表で和やかな雰囲気をかもしだされたことは大きな成果でした。
又、第Ⅱ分科会でも、事前の先生との対話が功を奏し、発表時間の配分など予定通り進むよう配慮していただけたし、内容も分かりやすく企業からの質問も相次いで出され、1時間ではやや不足かなと思うくらいでした。

なお第Ⅱ分科会では、各セッションの内容を以下のとおりご報告がありましたので参考までにご覧下さい。

第1セッション:篭島助教授より、SP-8の兵庫県の専用ビームラインは、
1)県の専用ビームライン、
2)ひとつのビームを分光して3つの実験ブースがある、
3)利用しやすい施策がある、
4)装置の操作に特に高度な技術や知識は必要ない、
5)高輝度とは光が強くて明るいという他に、光源が小さい、高い平行性を言うといった説明があった。
今回は、この高輝度という特徴を活かしたX線マイクロビームを使った顕微鏡の紹介であり、その特徴として、1)X線は、屈折率が1で光学レンズでは集光できないので、ゾーンプレートの透過型円形回折格子をX線レンズとして使用する、2)X線顕微鏡は、分解能が0.7μm程度で(μm=10-6m、大腸菌が約1μm、電子顕微鏡は分解能約1Å=10-10m=10nm)ある、3)常温大気中で資料を観察できる、つまり生きた状態を観察できる、4)X線を物質に照射すると、元素に固有の光が出て物質の分析ができるが放射光では極めて微小な資料でも分析ができる、
5)その実例(農業分野、毛髪内の微量元素の分布など)の紹介、6)これだけの性能は、SP-8だからできること、この分析や調査を行うためには、この実験室へ持ち込む必要がある、といったことが挙げられた。
県のビームラインを使った事業展開への啓蒙も、仕事のうちとかで、各地でセミナーもされている。播磨地域で放射光関連事業がたくさん生まれることを期待したい。

第2セッション:村上先生は、すでに企業との共同研究や特許取得は多数経験されている。
説明では、特許の多くは休眠状態で、利用したい人には共同申請者の了解は必要だが拒否するところはないだろう、会員から利用の申し出を期待するとのことであった。
浄化技術の主なものは、池、下水、上水などであるが、面白かったのは、例えば池にアオコを除去する装置を導入して1〜2年間使い続けると除去出来る藻類もなくなり、除去できない藻類やプランクトンが発生し池は濁るそうである。優勢種が減少すると繁殖を抑えられていた他の種が勢力を伸ばすという。こうした摂理を知らないと自然の反撃に会うそうである。その他に下水処理のばっ気に使用する気泡の発生装置、最近話題の竹炭の表面(平滑なため吸着力が小さい)にヒビを入れ効果を増幅する技術、まだ未公開ではあるが細砂を使用した新緩速ろ過システム(実績があり簡易水道などでは有望な方法)などの紹介があった。身近な話題だけに多くの質問が寄せられた。

第3セッション:望月教授から放射光で培われた技術や研究内容を一般産業界へ応用するための研究成果の発表があった。
SP-8や兵庫県のニュースバルといった放射光では、高輝度(前出)で極短波長の放射光が利用できるが、こうした光は、ギガ電子ボルトを発生できる巨大な施設でしか利用できず、生産用には向いていない。そこで研究室では、生産用に適した小型光源の研究と開発を行っている。
放射光は、資料の分析やタンパク質の構造解析などのほか、微細加工の道具として脚光を浴びている。この微細加工(ナノレベル)には比較的波長の長い軟X線が向いている。この軟X線は、物質を100〜30万度Kに熱すると発生する。小さな装置の中でこうした高温をつくるには、強力なパルスレーザー光を絞り込んで物質に照射し、プラズマ状態を作り出せばよい。このような高温プラズマ状態は短時間(10-8秒)ではあるが出現す。
そこでこの小型光源では、連続的にX線を取り出すために、パルスレーザ光を繰り返し照射することで課題を解決する。
このX線発生装置の開発には、
1)ターゲット材料となる物質、
2)レーザー装置、
3)X線を利用するためのミラーの開発といった複合的な課題の解決が不可欠。
ターゲット供給の基礎技術について世界に先駆けて数年前に特許を取得したという話であった。
こうした話の合間に、国の先端技術開発プロジェクト研究の問題点、世界の動き、この地域の企業家マインドなど第一人者としての思いが淡々とではあるが熱く語られたのが印象的であった。
(文責:企画委員(松岡・山口)、事務局)

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